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2005年02月27日カテゴリー:パット・メセニー

パット・メセニー on N.Y.Times (1):All The Things You Are

2月25日付けのニューヨーク・タイムスに、パット・メセニーのロング・インタビューが掲載されています。

The New York Times - Listening to CD's With: Pat Metheny: An Idealist Reconnects With His Mentors
(記事の閲覧にはN.Y.Timesのアカウントが必要になります。取得無料です)

「パット・メセニー:先達と再会する理想主義者」とでも訳せばいいでしょうか?

インタビューアーがパットに好きな曲を挙げてもらって、それらを聴きながらインタビューする、という企画で、これが非常に面白いんです。

特に「The Way Up」発売後のこの時期は、新譜についてのインタビューがほとんどで、内容もパットの回答も大同小異なのですが(ある意味当然ですが)、このインタビューは切り込む角度が全く違っていて、パットの音楽観、ジャズ観、そしてパットが既存の曲のどんなところを聴き、そこから何を引き出しているのか、がよく伝わってきます。

で、本当は全文翻訳したいんですが、長いんですよ(^^;

4htmlもあり、しかも格調高き「The New York Times」(笑)、訳すのも結構シンドイです(^^;

そこで、パットは5曲挙げていますので、1日1曲で今日から5回に分けて、パットによる解説部分を載せていこうと思います。(本当は曲解説以外のところも非常に面白いんですが。)

ということでまず最初にパットが挙げたのがこちら。

【Sonny Rollins & Coleman Hawkins:Sonny Meets Hawk!】
Sonny Rollins & Coleman Hawkins / Sonny Meets Hawk!<br />
この中の「All The Things You Are」です。

毎回書いておりますが、私の英語力は実際大したことはありません(^^;

さらにこのCDは残念ながら持っておりませんので、果たして訳した内容がちゃんと曲と合ってるのかどうかも分かりません(^^;

そこら辺はご了解のうえお読みになって下さい。
訳の間違いのご指摘は大歓迎ですので、英語お得意な方はヨロシクですm(__)m

ちなみに記事はインタビューアーの一人称で書かれていますので、文中の「私」はインタビューアーのことです。

ではどうぞ!

「当時はロリンズも若かったんだね。」

「All The Things You Are」の最初のコーラス部分で、ロリンズはホーキンスとハーモニー的に争っているかのようなラインを演奏している。勢いよく突進していくようなそのラインを聴きながら、メセニーは驚くようにつぶやいた。

「ここから感じられるフィーリングはものすごいね。

"自分はどんな演奏だってできるし、しかもそれはすべて素晴らしい!" というような・・・

分析して言ってるのではないけど、ホーキンスはロリンズの父親のように思える。そして、ロリンズはさらにこう言ってるようだ。

"そうさ、だけどね・・・" と。」

しかし、メセニーがこの曲に特に惹かれたのは、ポール・ブレイのピアノソロである。彼のピアノソロはエレガントで、流麗なフレーズで成り立っている。まるでトーナリティとメロディの回りでダンスを踊っているかのようであり、はずみがあり、そのはずみでフレーズ自体がどこかに連れ去られてしまいそうなほどだ。

メセニーはこのソロを「世界中で聴くことのできる演奏だ」と言った。それ以降のジャズ、特にキース・ジャレット以降のジャズへの影響からの発言だろう。メセニーはブレイのソロを「必然性に満ちている」と表現した。

メセニー曰く「彼のタイム感というのは、押したり引いたり、時間と格闘しているかのようで、タイムの取り方として一種最上の部類のものだと思う。同時に、フレーズによってベース、ドラムスと面白い関係を作ったり、ときどき前面に出てきたかと思えば、次にはちょっと奥に引っ込んだりもする」
(彼は人差し指を真っ直ぐ伸ばして、右から左へと軽く動かした。ちょうど大工の水準器のように、もしくは電子式のチューニングメーターのように)

「でも、ここにはまださらに "X"というファクターがあるんだ」 -- 彼は続けた -- 「それは、すべてがとても自然に次へと繋がっている、という感覚なんだ。彼はどんなアイデアも自然な終わり方をするように導いている。そしてフォームと調和させている。もちろん僕らがとてもよく知っているフォームにね。彼はハーモニーを追いながら、そうしてはいない。"どうして誰もこれまでこういう演奏をしなかったんだい?" まるでそう言っているかのようだ。」

ブレイのソロのラインとハーモニーには、率直さや、ある種フォーク的な自然な感覚がある。あなたの言う「必然性」の考えと、それは関係あるのでしょうか? と私は聞いた。

彼は答えた。「そうだね、私にとってジャズは、フォークミュージックとしてあるべきものなんだ。クラッシックじゃなくてね。人々の毎日の暮らしの中にある、ストリート・ミュージックであるべきなんだ。ジャズミュージシャンたちは、常に自分たちが実際に生きている時代の素材、ツール、そして精神を用い続けているだろう? それらは実際に彼らの身の回りにあって、日々の生活を成り立たせているものなんだ。決まり切った陳腐なものかもしれないけど、でもそれこそが価値のあるものなんだ。つまり、最も個人的なものが最も普遍的なものである、ということさ。」

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ということで第一回「All The Things You Are」、いかがでしたでしょうか?

パットは結構頭いいですよね(「結構」とか言っちゃ失礼か(笑))

感覚的なこともできるだけ明解に語ろうとする意思を感じます。
緻密な思考をするタイプで、言葉遣いにも知的水準の高さが表れている気がします。その分訳が大変なんですが(笑)

結構ボリュームありますので、今日からちゃんと毎日連続して続きを挙げられるかどうかはわかりませんが(^^;、努力します。

とりあえず当ブログ初の連載企画、個人的には「しらばくネタ切れから解消される」というメリットも感じつつ、手間暇考えるとちょっと労力使い過ぎか、というマイナスも感じております(^^;

ま、始めてしまった以上は最後までやりますので、ヨロシクです(^^)

参考:原文記事
"The New York Times - Listening to CD's With: Pat Metheny: An Idealist Reconnects With His Mentors"

続き:
パット・メセニー on N.Y.Times (2):Seven Steps to Heaven

パット・メセニー on N.Y.Times (3):Passarim

パット・メセニー on N.Y.Times (4):Fugue No. 22 in B-Flat minor

パット・メセニー on N.Y.Times (5):If You Could See Me Now

投稿者 Kota : 2005年02月27日 21:34
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コメント

 どーもおひさしぶりです。

 毎日、いろんな記事をありがとうです。

 いや、ほんといろんなネタを引っ張ってこられていますよね。

 今日のネタなんかはものすごく興味深いです。

 訳すの大変でしょうが、楽しみにしている方も多いと思いますので、これからもよろしくお願いします(笑)

 しかし、ことしの風邪はしつこいです。みなさん、体調管理に充分注意して風邪などひかれませんように…

投稿者 mac : 2005年02月27日 23:22

macさんこんばんは! お久しぶりです。
風邪の方はいかがですか?
もうよろしいのでしょうか?

> 毎日、いろんな記事をありがとうです。

いえいえ、とんでもございません(^^;

> いや、ほんといろんなネタを引っ張ってこられていますよね。

ときどき「我ながらよくやるよ」と思うことがあります(笑)

> 今日のネタなんかはものすごく興味深いです。

「The Way Up」発売のプロモーションでやったインタビューは結構いっぱいあるんですよ。ただやっぱりどこかで読んだような話が多く、新味にかけるんですよね。

でもこのN.Y.Timesの記事は面白かったので、ぜひ取り上げたいな、と。新譜にもサラッとしか触れてないですし(笑)
まあこれはまずインタビューアーの企画の立て方の勝利だったと思います。

> 訳すの大変でしょうが、楽しみにしている方も多いと思いますので、これからもよろしくお願いします(笑)

はい、ありがとうございます。
半分励まし、半分プレッシャーと受け止めながら頑張ります(笑)

あとすいません、コメントの一部を諸事情により削除させていただきました(^^;

macさんにはどこが削除されたか、おわかりですよね?(^^;
ちょっとマズイことが判明しましたので(^^;、ご容赦下さいm(__)m

> しかし、ことしの風邪はしつこいです。みなさん、体調管理に充分注意して風邪などひかれませんように…

そのようですね。お心遣いありがとうございます。
十分注意したいと思います。

早速のコメント、どうもありがとうございました!

投稿者 Kota : 2005年02月28日 00:01

kotaさん、こんばんは!
いや、マジで面白かったですよ、今回の記事も。いつも、楽しい記事をありがとうございます!

Patは本当に、頭の中にあるものを慎重に、丁寧に言葉にしようとする人ですよね。表現への拘りや真摯な姿勢が、インタビューにも現れているような気がしますよ。

私は近頃ちょっとThe Way Upをお休みして、Question & Answerなんて聴きなおしています(実は初めてのPatだった)。
あの中でもAll The Things You Areやってますが、あのアルバムってどう聴いてもSession以外の何者でもないのに、初めから終わりまで一つの大きな流れの中にあるような気がするんです。そして、そのアルバムとしての一貫した流れの中にAll The Things You Areも組み込まれていることに、更なる驚きを感じる…なんて思っていた今日この頃だったので、尚更今回の記事が面白かったです。

投稿者 ガラ玉 : 2005年02月28日 21:55

ガラ玉さんこんばんは!

> いや、マジで面白かったですよ、今回の記事も。いつも、楽しい記事をありがとうございます!

ありがとうございます。そう言っていただけると、本当にアップした甲斐があったというもんです(^^ゞ

> 表現への拘りや真摯な姿勢が、インタビューにも現れているような気がしますよ。

はい、私もそれを感じました。

> そのアルバムとしての一貫した流れの中にAll The Things You Areも組み込まれていることに、更なる驚きを感じる…なんて思っていた今日この頃だったので、

なるほど、そういう聴き方もありますね。

私は「Q&A」は最後が「Three Flights Up」で終わっているところが好きです。「The Way Up」じゃないですけど、なんかこう、上昇していくぞ!というような意思を感じます。

ガラ玉さんがおっしゃるように、単なるセッション・アルバムでありながら、コンセプチュアル・アルバムでもあるかのような作りがスゴイですよね。

第二回、明日(というかすでに今日ですね(^^;)中にはアップしようと努力しておりますので、またヨロシクです!

ではまた!

投稿者 Kota : 2005年03月01日 00:34

JホールのLIVE!、PMTのQ&Aと99>00、ジェシVルーラーのマーフィーズ・ロウを最近のヘビー・ローテーションにしているので、大変興味深く、記事を拝見いたしました。

世代が違う、スタンダード曲に対するリアルの体験も違う3人のギタリストが、原曲に敬意を表しながら自分なりの独特の表現をしていて、毎回のように新しい発見があり感激させてもらっています。

ところでPMGの来日公演、大阪が先で東京が後ですね。2日後以降にインプレッションをアップしますのでご心配なく(?)

投稿者 longrow1967jp : 2005年03月01日 12:11

longrow1967jpさんこんにちは!
いつもコメントありがとうございます。

> ジェシVルーラーのマーフィーズ・ロウ

これ、longrow1967jpさんだけでなくSuzuckさんも勧められてましたよねぇ。
あれ見て私も先日購入しちゃいました(^^;
いずれレビュー書こうかと思ってましたが、お二人があれだけ書かれているからもうあまり書くこともなく、ま、当分いいかな、なんて思ってます(^^;

> 自分なりの独特の表現をしていて

これって大事ですよね。単なるフォロワーに終わらずに、いかに自分の世界を構築できるか、ということ。
この辺、今回のパットのインタビューでも出てきますのでお楽しみに(^^)

> ところでPMGの来日公演、大阪が先で東京が後ですね。2日後以降にインプレッションをアップしますのでご心配なく(?)

お心遣いありがとうございます。
でもネタバレのヤバそうな記事は全部見ないようにしてますので大丈夫です(笑)

とはいえすでにもう2曲、私は知ってしまったのですが(^^;

投稿者 Kota : 2005年03月01日 12:53

Kotaさん、「NY TIMES記事」情報ありがとうございます。
NY TIMESのオンラインなんて、8年くらい前?に
アカウント取得して以来ほとんど見てなくて、
パット記事見ようとアクセスしたら、すでにアカウント消えてました……。

わたしとしては、記事冒頭の
「パットは中西部育ちなのにカリフォルニアンみたい」とか、
「はだし」とか、パットの“いかにも”っぽい様相なのが笑えました。

先日のボナ氏のマスタークラスに、私と同行した方が
主宰しているジャズ関連のHPがあるのですが、
さっそくそちらで、この「NY TIMES記事の情報」を
書かせていただいてしまいました。
そちらのサイトで出入りしている人は
英語が得意な人が多いので、誰か全訳してくれないかな~と
期待しています。

ちなみに、ジャズ関連のHPとは、次のところです。

●JAZZ WORLD掲示板
http://jazz.ac.fm/

もちろん、こちらのブログでの
Kotaさんの訳出文を楽しみにお待ちしていますので、
大変かもしれませんが、アップよろしくお願いします!

投稿者 Shoga : 2005年03月01日 16:26

Shogaさんこちらにもどうもです!

> わたしとしては、記事冒頭の
> 「パットは中西部育ちなのにカリフォルニアンみたい」とか、
> 「はだし」とか、パットの“いかにも”っぽい様相なのが笑えました。

そうそう!(笑)
ホント、曲解説以外のところも面白いんですよね、この記事。

> 英語が得意な人が多いので、誰か全訳してくれないかな~と
> 期待しています。

おお! じゃ私もそっちに期待してよろしいでしょうか?(笑)

> ちなみに、ジャズ関連のHPとは、次のところです。
> ●JAZZ WORLD掲示板

ご紹介どうもです。
ちょっと書き込みしたいネタがあったので(^^;、後で遊びにいきま〜す。

> 大変かもしれませんが、アップよろしくお願いします!

ありがとうございます。
マジで大変な感じがしてきている今日この頃ですが(笑)、頑張ります!

第二回、今日は出せるかな〜(^^;

投稿者 Kota : 2005年03月01日 17:34