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2005年03月04日カテゴリー:パット・メセニー
パット・メセニー on N.Y.Times (3):Passarim
第3回目となる今回は、これまた「来ました」って感じですね。
パット・メセニーが敬愛するミュージシャンの一人、アントニオ・カルロス・ジョビンです。
【Antonio Carlos Jobim:Passarim】
これはジョビンの生前最後のスタジオ録音盤、ということのようです。
残念ながらこのアルバムも私は持ってなくて、この「Passarim」という曲も聴いたことありません。その分余計に翻訳に困難さを増してしまったような(^^;
Amazonに注文はしたんですが、ちょっと間に合わなかったようです。明日には来ると思うんですけどね。
で、今回も泣きたいようなハードさでした(^^;
訳のヤバさ全開ですが、第3回、どうぞ!(笑)
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ボサ・ノヴァのパイオニア
メセニーの人気は、1979年の「American Garage」で一気に跳ね上がった。それから約15年間、メセニーはほとんどコンスタントにツアーを行ってきた。ただ留守番電話の雨よけのためだけに使われているかのような、ボストンのアパート以外に根を張ることもなく。
いま彼はフランス系モロッコ人の妻、ラティファと、二人の息子、ジェフ・カイスとニコラス・ジャキームと一緒に、アッパーウエストサイドの上層階で暮らしている。
ツアーをしていた期間のうちの数年間、メセニーはブラジルにしばし滞在し、偉大な作曲家であるアントニオ・カルロス・ジョビンの知己を得た。もちろんジョビンが1994年に亡くなる以前のことである。(ブラジル音楽がメセニーに与えた影響は、メセニーがブラジル音楽に与えた影響以上に、しばしば論争の元になっている)。
メセニーはジョビンのラストアルバムから、3分半に凝縮された傑作「Passarim」をリストアップした。ジョビンが環境汚染への抗議を唱えた作品である。
この曲は英語とポルトガル語の同名のものがあり、私たちはボルトガル語バージョンを聴いた。
メセニーは曲が始まった途端にニッコリと微笑んだ。「これはただの曲じゃないんだ。本当の作曲とはこういうもののことを言うのさ。特にこんなちょっとしたところとかね」。
メセニーはそう言って、女性ボーカルのコーラス部分まで曲を戻した。ジョビンの友人や家族たちによるコーラスが、繰り返しメロディーラインを越えて下降しながらハーモニーを転換させていく箇所だ。
のどの炎症にやられたジョビンの声が再び入って来た。
「ほら、この部分はブリッジと呼べるかもしれない。」メセニーは言った。「”Desafinado" のように、他のパートへと回転しながら突き進んでいく点を除けばね。ジョビンのパートが終わったところで曲も終わるべきだったんだ。でもそうはなっていない。次に全く別の展開に入っていって、複数のキーに転調し続けるんだ。」
突然、曲がボサノヴァからワルツのテンポに変わった。
「すごく進歩的だよね。」彼は言った。
「ハーモニーの美しささ。異なるタイプの声からなるメージャー・トライアドが、全体を通して下降していくんだ。しかも、すべてが繋がっている。メロディーの繋がりさ。最初の一音から最後まで、決して止まることがない。
「僕らはいまどこにいる? 曲が始まって大体2分半のところだ。ここまでリピートの部分は一つもない。つまり、ポール・ブレイが推し進めた方法がさらに進化してるんだ。そこには繋がりがあるんだよ。」
「ああ、そうさ」とメセニーは同意した。
「それはちょうど、朝起きた直後で、自分が何をしているのか、自分でもはっきりとわからない状態のようなものだ。もしかしたらこれまでで最高の曲が書けるかもしれない。でも実際はその過程にいるわけじゃないんだ。
「作曲について語る時は、よく考古学の比喩を使うんだ。こんなに素晴らしい曲がいたる所に存在している。ミュージシャンとしてのスキルがあれば、そういった名曲を損なうことなく、取り上げることができるんだ。」
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すいません、もうノッケから謝ります、ボロボロです(^^;
英語そのものの難しさでというよりは、内容そのものの難しさなのかなぁ・・・
最後の段落の「朝起きてから~」のところとか、何を言いたいのかどうしてもピンと来ませんでした。ホントすいません・・・
ただ、ここまで訳してきて、このインタビューのことでわかってきたことがあります。
一つは「glue」というキーワード。(のりや接着剤で)繋げる、という意味ですが、メセニーは「music glue」「melodic glue」と言った言い方を頻繁に用いています。
それから、直接触れないながらも、このインタビューは結局は「The Way Up」の批評、分析になっている、ということです。
先の「melodic glue」というのは、今日の翻訳の中では「最初の一音から最後まで途切れることなく」ということと同義になっていますが、これも「The Way Up」でパットが目指したものなのだと思います。
それから「ここまでリピートの部分は一度もない」というセリフもありましたが、これも「The Way Up」の特徴でもあります。あの68分の楽譜には、リピート・マークが一度も出てこないそうです(笑)
ということで内容的には非常に高度で優れたものなんですが、いかんせん訳が全く追いつけなくて申し訳ないです。
ご意見、ご指摘等々、お待ちしています。
残りは分量的に少ないので、割りと早く出せるかなぁと思うんですが(^^;、一応頑張りますのでまたよければ読んでやって下さい。
ではまた!
参考:原文記事
"The New York Times - Listening to CD's With: Pat Metheny: An Idealist Reconnects With His Mentors"
バックナンバー:
パット・メセニー on N.Y.Times (1):All The Things You Are
パット・メセニー on N.Y.Times (2):Seven Steps to Heaven
投稿者 Kota : 2005年03月04日 12:18
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コメント
素晴らしい企画(インタビューとその翻訳)ですね。
Passarimを知らないのですが、PMが言いたいことは、KOTAさんの分析も手伝ってよく分かりました。
お疲れ様です!
投稿者 longrow1967jp : 2005年03月04日 13:39
Passarimはもってないのですが、コンピでこのアルバムのPassarimが入っています。
いやぁ・・感動しながらきいてます。
そっか、喉いためてたんだぁ・・・(じゃ、ないだろ!)
しかし、天才同士は、素人にはわかんないつながりがあるんだねぇ・・。
ありがとさんでした。
これね・・ジョーヘンも吹いてるんですが・・。
彼のジョビン集でね。正直・・あまり、この曲の演奏・・印象のこってないんですけど。
朝ね、ジョビン聴いてたんですよね。
うむ〜、カフェオ〜レ聴かないで・・m(__)m
投稿者 Suzuck : 2005年03月04日 18:22
longrow1967jpさんこちらにもどうもです!
> 素晴らしい企画(インタビューとその翻訳)ですね。
翻訳はともかく(笑)、企画は見事だと思います。
実はこの曲解説の前に、インタビューアーとパットの間で、このインタビューについてのやり取りがあるんですよ(原文お読みであればご存じでしょうが)。
そこも面白いんですよね。やっぱ最初に訳すべきだったかなぁ(^^;
> Passarimを知らないのですが、PMが言いたいことは、KOTAさんの分析も手伝ってよく分かりました。
恐縮です(^^;
近日中に「Passarim」届くと思うので、聴いてみて訳がずれてないかどうか確認してみます。
・・・全然違ってたらどうしよう(笑)
> お疲れ様です!
ありがとうございます。こんな訳でもそう言っていただけると本当に報われた気になります(^^ゞ
> Suzuckさん
こんばんは!
> そっか、喉いためてたんだぁ・・・(じゃ、ないだろ!)
正確には「catarrhal」で「カタル性の」ということらしいんですが、逆に「カタル性の」じゃわかんないので(笑)、「炎症」としておきました。
いま調べてみたところ、
カタル性口内炎:口の中の粘膜が赤く炎症を起こす口内炎。
「カタル」とは”流れる”という意味で、アフタ性口内炎と違い境界がはっきりしない。
虫歯や歯槽膿漏、義歯の不具合などでできる。ビタミン不足などが原因のこともある。
とのことでした。ジョビン、ビタミン不足だったんでしょうか?
> しかし、天才同士は、素人にはわかんないつながりがあるんだねぇ・・。
ま、ぶっちゃけそういうことのようですね(笑)
> 彼のジョビン集でね。正直・・あまり、この曲の演奏・・印象のこってないんですけど。
あ、そうですか~。
今回のパットの選曲、ちょっと一般的ではないですよね。
「Four & More」を取り上げたら、普通「Seven Steps Heaven」はあまり取り上げないと思うんですよ。やっぱまずオープニングの「So What」を取り上げるのが人情ってモンじゃないですか(笑)
「Seven Steps ~」はあのアルバムの中では印象薄い方ですよね。
やっぱ目の付け所というか耳の付け所が違うから、「Passarim」があまり印象残ってない、というのも十分考えられる気がします。
> うむ〜、カフェオ〜レ聴かないで・・m(__)m
いやいや、別にいいッスよ(笑)
投稿者 Kota : 2005年03月04日 20:44
KOTAさんどーもPassarimは私がもっているジョビンのアルバムのなかでも一番好きなアルバムであり、曲としてもかなり好きです。
ここでメセニーが言っているように、コーラスや曲の構成がすばらしいです。
自分はこの曲を始めて聞いたとき、バッハを聞いたときと同じような印象を持ちました。曲のなかに複数の流れがあってそれが一本に統合されているような感じと言えばいいのかな。
このアルバムはもっと多くの人に聞いてもらいたいアルバムです。
そういえば、イリアーヌもプレイ・ザ・ジョビンというアルバム(だったと思う)でこの曲やってました。あのアルバムもよかったです。
何はともあれ、KOTAさん訳ご苦労さまでした。
投稿者 mac : 2005年03月05日 10:04
macさんこんにちは!
> Passarimは私がもっているジョビンのアルバムのなかでも一番好きなアルバムであり、曲としてもかなり好きです。
そうですか~。パットと感性が近いかも?(笑)
私も聴くのが楽しみです(^^)
> 自分はこの曲を始めて聞いたとき、バッハを聞いたときと同じような印象を持ちました。
ご存じでしょうけど次回のインタビューはバッハですよ(^^)
> 曲のなかに複数の流れがあってそれが一本に統合されているような感じと言えばいいのかな。
それはまさに今回パットが言っているようなことだと思います。
macさんの正体は実はパット本人とか?(笑)
> このアルバムはもっと多くの人に聞いてもらいたいアルバムです。
Amazonのレビューも絶賛ばかりだったんですよね。
私も聴いてみて、可能ならば単独でここに取り上げてみようかと思います。
今回もお読みいただいてどうもありがとうございました!(^^)
投稿者 Kota : 2005年03月05日 10:42
ちょっと、ちゃう。
Passarim、ジョビンのヴァージョンはかっこよかったですよ。
これさ、中古コンピで持ってる曲が多くて、あまりきかないんですが、あらためて、彼の音楽の造詣(あれ、この字でよかった?)の深さに関心した。
お耳お馬鹿なので、ジョーヘンは、ピントこなかっただけです。
>人情ってモンじゃないですか
天才に人情論は・・・うむ〜〜。
投稿者 Suzuckさん : 2005年03月05日 11:59
macさん
はじめまして、横からすいません。
ジョビンお好き、ってことで・・
ファミリアジョビン、ってアルバムのPassarimもなかなかいいです。
何かの機会があったら、聴いてみてくださいな。
投稿者 Suzuckさん : 2005年03月05日 12:06
Suzuckさんまいどどうもです!
そうか、ジョーヘンのバージョンがピンと来なかった、って話ね。
失礼いたしあした(^^;
> 天才に人情論は・・・うむ〜〜。
そっか(^^;
ま、言葉の綾ってヤツで(そうなのか?(笑))
投稿者 Kota : 2005年03月05日 13:37