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2005年02月20日カテゴリー:音楽
トニーニョ・オルタ:Moonstone
先日ナンド・ローリアの紹介をした際、「トニーニョ・オルタに近い」と書いたところ、トニーニョへのリアクションが多少ありましたので、今日はメセニーも参加したトニーニョの「Moonstone」を紹介したいと思います。
【Toninho Horta / Moonstone】
トニーニョ・オルタはブラジルのギタリスト/ボーカリスト。ミルトン・ナシメントのバンドに在籍したこともある、いわゆるミナス派の代表的なギタリストです。
パット・メセニーが尊敬するギタリストとしても有名で、確かに甘く優しく繊細で、なおかつ激しさや力強さをも併せ持つ、絶妙のタッチが本当に素晴らしい「ギタリスト・オブ・ギタリスト」です。
ということで前置きが長くなりましたが、メセニー以外にもダニー・ゴッドリーブ、マイク・イーガン、スティーブ・ロドビー、ナナ・ヴァスコンセロスと、メセニーファミリーが大勢参加しているアルバム、「Moonstone」の紹介です。
まず一曲目の「Bicycle Ride」
イントロのギターのアルペジオと、そこにかぶさるトニーニョのヴォイスがいきなり美しい。ずっと前にギターをコピーしたことあるんですが、開放弦を交えての、ちょっとユニークなヴォイシングでした。
柔らかなメロディーで、聴いた瞬間にスーッとオルタの優しい世界に吸い込まれてしまいます。間奏のピアノソロと、それに続くフルアコのギターソロもいいですね。ここでのオクターブ奏法は実に端正な発音で、こういう演奏ができることがうらやましいです(^^;
ベースはスティーブ・ロドビー、タンバリンがナナ・ヴァスコンセロスです。
お次は伸びやかなフレットレス・ベースと、瑞々しいトニーニョのガット・ギター、そして柔らかなソプラノ・サックスが見事な調和を見せる「Eternal Youth」。この美しいフレットレス・ベースはマーク・イーガン、ドラムスがダニー・ゴッドリーブ、そしてパーカッションがナナ・ヴァスコンセロスと、PMGの歴代リズムセクションが勢揃いです。
「Garshwin」は彼の代表的なナンバー。エレガットの弾き語りによる軽快な曲です。トニーニョのギタリストとしての面目躍如! の見事なアルペジオです。オーバーダブによる間奏のフルアコ・ソロが入るのですが、いや~、ちょっとタメ気味の間の取り方が、メセニーそっくりなんですよね(メセニーの方が後だよねぇ、たぶん(^^;)
そして来ました、タイトル・チューンの「Moonstone」。右チャンネルがトニーニョのガット、左がメセニーのガットによる、ギター2本だけの珠玉の名バラードです。さすがに互いに尊敬し合う者同士で息もピッタリ。これ聴いていると本当に幸せな気持ちになります。メセニーファンはこれ一曲のためだけでもこのアルバムは買う価値アリ。必聴です!
「Liana」も美しいガットのアルペジオから始まる曲です。ダニー・ゴッドリーブのきらめくようなハイハット・ワークは、初期PMGのあの爽やかな空間を想起させます。エレキとソプラノのユニゾン、またはエレキとヴァイオリンとのユニゾンによるメロディーもとても美しい、愛すべき小品です。
ここで雰囲気は一転、賑やかなブラジルのリズムが楽しい「Yarabela」。Aメロの裏打ちのリズムがまた楽しく、思わず踊り出したくなるノリノリの曲です。珍しくランディ・ブレッカーがフリューゲル・ホルンで参加。粋なオブリガードで盛り上げます。曲調は違いますが、リズムパターンは「Straight On Red」に近いかも? トニーニョのエレキ・ソロもグーです。
お次はギターとドラムス、ソプラノサックスの変則トリオによる3拍子の「Francisca」。これはもうトニーニョのエレキによるリード・ソロと、ベース帯域もカバーするアコギのバッキングにただただ脱帽。派手さはなくテクニックを前面に出すようなプレイは一切しませんが、いかにギターに精通しているかがよくわかる一曲です。
8曲目の「Sun Song」もトニーニョのアコギとボーカルのみの弾き語りナンバー。しかし彼のギター・アルペジオはどうしてこうも美しいのでしょう。右手のタッチはもちろんですが、やはりコード・ヴォイシングが独特なせいでしょうか。
次の「I'll Never Forget」も大好きな曲です。シンセを前面にフィーチャーしたバンド的なまとまりのある曲で、疾走感に溢れ、ライブでアンコール前にやりそうな、非常に盛り上がるナンバー。ソプラノ・サックスとヴァイオリンのソロも流れるような展開で非常にカッコイイ。この曲のノリに大きく貢献しているのがパーカッションのナナ・ヴァスコンセロス。見事なパーカッションワークですが、イントロでは彼のヴォイスも聞くことができます。
アルバムを締めるのは「Spirit Land」。スティービー・ワンダーの「Overjoyed」を思わせる、自然界のサウンドが溶け込んだ幽玄的な曲。重厚なコーラスとトニーニョのアコギ、マーク・イーガンのフレットレス・ベース、ソプラノ・サックス、そして深いリバーブの効いたドラムスとが一体となって、「天上の世界」をかいま見せてくれます。
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久しぶりに長々と全曲解説しちゃいましたが、これも多くの人に聴いて欲しいアルバムです。
とにかくメセニーファンは必携アイテムですから、必ず購入するようにして下さい(笑)
投稿者 Kota : 2005年02月20日 17:20
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» Toninho Horta / Toninho Horta (1980) from MUSIC OASIS
Toninho Horta(g,vo),PatMetheny(g),Lo Borges(g),Paulo Braga(d),etc.
トニーニョ・オルタの... [続きを読む]
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コメント
買いまあああす!
投稿者 longrow1967jp : 2005年02月20日 20:57
kotaさん、こんばんは。
トニーニョ、実は最近初めて彼の音楽に触れる機会がありました。
メセニーが影響受けたというそのスタイル、私も聴いたとたんに虜になりました。
デビュー盤、とDiamnodLandの2枚を聴いたのですが、なんというか多面的な魅力にあふれてますね。ブラジル系のギタリスト、という先入観がいい意味で裏切られました。
ご紹介の「Moonstone」、とても気になるので聴いてみたいと思います。
投稿者 h2 : 2005年02月20日 21:12
> longrow1967jp さん
> 買いまあああす!
だはは、すんごいストレートなコメントどうもです(笑)
でもこれはホント買って後悔しないと思いますよ(^^)
> h2さん
こんばんは。
> メセニーが影響受けたというそのスタイル、私も聴いたとたんに虜になりました。
ね、いいですよね!(^^)
> デビュー盤、とDiamnodLandの2枚を聴いたのですが、なんというか多面的な魅力にあふれてますね。
ああ、これらもいいですよね。Diamond Land はあのローランドのギターシンセ抱えてるジャケットですよね。音もメセニーと同じあのシンセサウンド使ってますよね。ホントに影響し合ってますよね、この二人。
> ご紹介の「Moonstone」、とても気になるので聴いてみたいと思います。
h2さんがお持ちの2枚はブラジルのレーベルだと思うんですが、この「Moonstone」はVerveのForecastというレーベルのアメリカ生産で、プロデューサーもアメリカ人だと思います。(この辺はマス男さんがお詳しいですよね、と振ってみたり(笑))
ですのでより「売れ線狙い」で聴きやすいと思います。機会がありましたらぜひ一度聴いてみて下さい(^^)
投稿者 Kota : 2005年02月21日 01:22
kotaさん、フリ、ありがとうございます(笑)。
でも、今、もう現物がなくてね〜聴きたくなってしまいますね。
生トニーニョ、ジョイスのゲストとして来た時に2回ばかり見ましたが、なんつーか、もうホントに自然体というか懐の深さみたいなものがにじみ出てて、とっても良かった。昔の狭いブルーノートでみた時なんか、客席にソロを回しちゃうんですから(笑)。どういうことかと言うと、トニーニョが客席を指差すと、そこの席の人がフォークで皿をチンチンチチンとやったり、口でクィーカの音真似をやったりして、まあ、たまたまみんな巧かったんだけど(笑)、なんかねー、ステージと客席が一体になった、もうホントに、最高に素敵な瞬間でした。
去年、アンオフィシャルに来日して密かにライヴやったそうで(韓国に来たついでに寄ったそうで、ヴィザの関係もあって公式にはライヴ営業なんかしちゃいけなかったんだとか)、それに行った友達が「今までの来日公演の中で一番良かった」なんて言うもんですから、「なんで教えてくれなかったんだよ〜!」って地団駄踏みましたよ、ホントに。
あ、その友達ってのは、タワーなんかにおいてある「Banca」って500円のブラジル音楽誌の編集者の一人。これ、なかなかオシャレで可愛くて良いんです。2号には僕も少し書かせてもらいましたんで、ぜひお買い求め下さい。宣伝宣伝。
投稿者 マス男 : 2005年02月21日 16:58
ゴメン、フリに答えてなかった(笑)。Forecastって、Verve内のワールド・ミュージック・レーベルみたいな位置づけですよね。今もあるのかな?
投稿者 マス男 : 2005年02月21日 16:59
Diamond Land、Moonstone、これ、フュージョンの世界ですよね。
オルタは、あっというまに虜になって、次から次に聴きまくりましたぁ。
最近、新規購入はおやすみしてますけど・・
ブラジル色は濃いですけど(当たり前なんだけど)、2作目のToninho Hortaも好きです。(これもメセニーいますよ)
って、いうか、みんな好きなんですけどね。
Beijo partidoって、Broken Kissって、英語タイトルの曲がお好きで、他の人でもこれがあると買いたくなります。
ほんと、彼が弾きまくってるほど私ポイントたかいんで、Durango Kid2(弾き語りソロです)も超お気に入りです。
あぁ、とまらなくなってきた。
他にもSem Voce、ってJoyceとのデュオ、Duets、ってNicola Stiloとのデュオ、もう、泣けるアルバムいっぱいあります。
Diamond Land、Moonstoneは、きっとみなさん気に入るようなきがします。
で、今日は彼のDuets、ってアルバムで日記かいてみました。
なんか、私らしい気がして・・(意味不明)
投稿者 Suzuck : 2005年02月21日 19:12
マス男さんコメントどうもです。
> 生トニーニョ、ジョイスのゲストとして来た時に2回ばかり見ましたが、なんつーか、もうホントに自然体というか懐の深さみたいなものがにじみ出てて、とっても良かった。
えー、生トニーニョですかぁ!
オレはライブは見たことないです。いっぺん見てみたいなぁ。
いつかブラジルに旅行して、現地で彼のライブ見るのが夢なんですけどね。
> なんかねー、ステージと客席が一体になった、もうホントに、最高に素敵な瞬間でした。
あ~、クソうらやましい!(笑)
> 「なんで教えてくれなかったんだよ〜!」って地団駄踏みましたよ、ホントに。
なんでオレにも教えてくれなかったんだよ~!(笑)
> 2号には僕も少し書かせてもらいましたんで、ぜひお買い求め下さい。宣伝宣伝。
わかりました。「Banca」2号ですね。
じゃ私も宣伝。
いま「Moonstone」ないんですよね。
上のジャケ写クリックしてAmazonからご購入いただきますと、消費税程度の紹介料が私の口座に振り込まれますのでヨロシクです(笑)
あ、Verve の Forecast、検索したら出てきました。
http://www.vervemusicgroup.com/label.aspx?lid=50
まだあるんですね。やっぱりブラジル・ミュージシャンに力を入れているようですね。
> Suzuckさん
こんばんは! コメントどうもです。
> オルタは、あっというまに虜になって、次から次に聴きまくりましたぁ。
私も全く同じです(^^)
> 2作目のToninho Hortaも好きです。(これもメセニーいますよ)
一昨年か昨年辺りに再発されたヤツですよね。その際ようやく私も購入できました。
> あぁ、とまらなくなってきた。
私も同類ですんでお気持ち良く分かります(笑)
> 他にもSem Voce、ってJoyceとのデュオ、Duets、ってNicola Stiloとのデュオ、もう、泣けるアルバムいっぱいあります。
Sem Voceは私も好きでまさに今これをBGMにしているんですが、Nicola Stiloとのデュオ、というのは知りませんでした。
> で、今日は彼のDuets、ってアルバムで日記かいてみました。
はーい、後でお邪魔しまーす!(^^)/
投稿者 Kota : 2005年02月21日 21:57
Sem Vocem、めちゃくちゃ好きです。
ほら、オルタファン、ってオルタのオリジナル好きって、のもあるでしょ。
でも、ほら、清く正しいジャズファンだったことが長いので、
ブラジル、っていえば、ジョビン、だった時季が永遠ながかったのです。
私の音楽環境は、ネットでいろいろ教えてもらって、激変しました。
でも、びび、っとくるポイントは変わってないとおもうんだけど・・。
と、いうことでトラバってみました。
投稿者 Suzuck : 2005年02月22日 09:48
Suzuckさんこんにちは!
> 清く正しいジャズファン
おっしゃりたいことはわかりますが、なんか楽しい表現ですね(笑)
そういう言い方すると、私はちょっと不良がかった劣等生のジャズファンです(笑)
> ブラジル、っていえば、ジョビン、だった時季が永遠ながかったのです。
やっぱり普通そうですよね。
でも私はたぶんボサノバ聴き歴よりオルタ歴の方が長いです。
そういうとこがやっぱ不良なんですよね(笑)
> 私の音楽環境は、ネットでいろいろ教えてもらって、激変しました。
> でも、びび、っとくるポイントは変わってないとおもうんだけど・・。
これは私もそうですね。特にこのブログを立てた2ヶ月弱だけでもずいぶん変わった気がします。
とはいえ自分の「ツボ」はやはり変わってなくて、そこに刺さる針の本数が増えた、という感じでしょうか。
> と、いうことでトラバってみました。
じゃあ、ということで私も今からトラバらせていただきます(^^ゞ
投稿者 Kota : 2005年02月22日 11:34