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2005年09月02日カテゴリー:音楽

矢野顕子ライブ in 鎌倉

火曜日に友人から突然の連絡があり、8月31日の鎌倉での矢野顕子ピアノ弾き語りライブのチケットが余ったので行かないか、と誘いを受けました。

まあいろいろ忙しい時期ではあるんですが(^^;、行こうかどうしようか迷っていたライブでしたし、昨夜はまあ時間的にせっぱつまった状況でもなかったので、一応形だけ悩んだ後(笑)、行くことにしました。

私は一応YMO全盛時に多感な時期を過ごしたオッサンでございますが(笑)、YMOにもそれほどはまることはなく、YMO以降も矢野顕子はそれほど聴いてはいませんでした。

で、多感な時期をとうに過ぎた頃にパット・メセニーにはまり出し(^^;、パット経由で再度矢野顕子を聴き始めた、という妙な入り方をしてまして、矢野顕子の歌はあまり詳しくはありません。

パット・メセニーが絡んでるアルバムはよく聴きますが、それ以外でもいわゆるピアノ弾き語りの三部作、「SUPER FOLK SONG」「PIANO NIGHTLY」「Home Girl Journey」はかな~り好きで、この三枚だけは本当に愛聴盤として今でもよく聴いています。

矢野顕子 / ピヤノアキコ。~the best of solo piano songs~ (SACD-Hybrid)この三枚からのベスト盤として、いまは「ピヤノアキコ。」というアルバムも出てるんですね。

個人的には「3枚全部買い揃えてください!」と言いたいところですが(笑)、「どんなのか聴いてみよう」という方はこちらから入るのも手かと思います。

あと昨年の12月、渋谷公会堂に「さとがえるコンサート」も観に行ってまして、ゲストに「くるり」が来ていたんですが、この時のライブも非常に良かったです。

特にピアノ伴奏のみの歌が非常に素晴らしく(私は初日に行ったんですが、二日目はパット・メセニー作曲の「Prayer」をやったそうです)、「できれば今度はピアノ弾き語りだけを、もっと小さめのホールで聴いてみたいなぁ」と思ったので、まさに31日はその通りのシチュエーションとなったわけです。

というわけで、これから「続き」の方にセットリストがほとんどわからないままライブの感想を書こうと思いますが(^^;、実はもう一つ書いておきたいことがあります。

ライブに誘ってくれた友人というのが、実はちょっと「ワケあり」です(笑) あ、残念ながら男女のどうのこうのじゃないです、男です(笑)

キーワードはこの日も演奏された「誰がために

ライブの話と合わせてこちらもお読み頂ければ幸いです。

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会場は鎌倉芸術館の小ホール。キャパは600人ぐらいでしょうか。確かにこじんまりとしていていい感じです(^^)

席は前から4列目の中央やや右寄り。いや〜、こりゃまた激しくラッキーです。

開演時間を10分ほど過ぎたところで、ステージ左手より矢野さん登場。ステージ中央で行ったん立ち止まり、いつもの「ニコーッ」という笑顔で客席を見渡すと(ニコッ、じゃなくてニコーッ、なんですよね、彼女の場合(笑))、一言もしゃべらずにピアノの前に腰掛けて、演奏を始めました。

予想以上にピアノの音がいいです。ピアノ自体の音もいいんでしょうし、PAのセッティング、そして会場の造りなどもあるんでしょうが、やはりこれは奏者の腕に依るところも大きい、と思いました。

流れるようなピアノと歌声が会場全体を埋め尽くし、空気が変わりました。急に気圧が高まった、あるいは空気の密度が急に濃くなった——会場が一瞬にして別の時空に入り込んだかのようです。空気に滋味が溢れていて、深く吸い込めば吸い込むほど「何か」が体に満ちてくる。そんな空間です。

一曲目が始まった途端に、「あ、今日はもう目つぶりモードだ」と決めました。照明の方には申し訳ないんですが(^^;、本気で聴き入りたい演奏の時は、私は目をつぶることにしています。やはり音への集中力が高まるからです。

眠たい時の「目つぶりモード」は、寝入ってしまう危険性をはらんだ「諸刃の剣」で(笑)、昨日も睡眠不足気味でしたが、「この演奏なら目をつぶっていても絶対眠らない、きっと寝てなんかいられない」と即座に直感しました。

ですので本当に最初から最後の一音まで気合い入れて聴きました。したがって演奏中の矢野さんの顔とかはほとんど見ていません(^^; MCの時は目を開けてましたけど。

矢野さん曰く、今回のセットリストは定番の人気曲をちょっと外して、あまり普段はやらないレア曲が多い、とのことだったんですが、すいません、私は定番もわかんなかったりするんで(^^;、レア曲の「ありがたみ」が全くわからず、単純に知ってる曲と知らない曲が両方出てきた、という感じで、選曲そのものに対する驚きとか感動はありませんでした。

長年聴き続けてらっしゃるファンの方にはいろいろな思い、感想があったと思いますが、それがわからない自分にとっては、やった曲を知ってるとか知らないとかを抜きにして、とにかくすべてが素晴らしい演奏で、ジャズのアドリブのように、同じ曲であってもあの日の演奏はあの日にしか聴けなかったはずだ、と今も思っています。だから「知ってる、知らない」とは別の次元で、すべてが「初めて聴く新しい歌」でした。

たとえば

♪わ~ら~に~、まみれてよ~♪

の「達者でナ」も演奏されました。

さすがにこの出だしは知っていますし、アルバム「長月・神無月」にも収録されていますが、私にとっては、本気できちんと聴くのはこの日が初めてだった、と思わずにはいられませんでした。歌の中に引き込まれずにはいられない圧倒的な演奏で、改めてこの歌の「哀しさ」を知った気がします。

そう、圧倒的な音楽でした。私ごときが今さら言うまでもないですが、ホントに恐ろしい人ですね、矢野さんって。

「恐ろしい」といっても別に「恐い」という意味じゃないですよ、念のため(笑)

体の垢を集めて固めてできたのが「ちから太郎」なら、ヤノアキコは音楽を練り集めて固めて誕生したんじゃないかとか、血管の中は血液の代わりに音符が流れてるんじゃないかとか、愚にも付かない想像をしつつ、それでもやっぱり「とりあえず人間は超えている」ことは確信しました(笑)

私はピアノはそれほど詳しくはないですが、あれほどの表現力で演奏されるピアノはそうはないんじゃないかと思います。

皆さんご存じの通り、ピアノとは「弱い音」を意味する強弱記号の「ピアノ」が名前の由来で、弱い音から強い音まで出せるという、発明当時としては画期的な楽器だったわけですが、この日ほどその名の由来を実感したことはありませんでした。

打ち込みのMIDIによる演奏では、強弱は128段階で表現することができます。最近は256でも表現できるのかな? いずれにしろ私は127と128の強さの違いなんて感じられないし、自分で打ち込んでも大差ないからどっちでもいい、ってな感じでやってましたが、矢野さんのピアノは128とか256の段階、なんてものじゃなかったですね。

まさに無限——出したい音を出したいように出す、シンプルながらもある種究極とも言える表現が、目の前にハッキリと立ち現れていました。

出したい音を出したいように出す。表現したいことをありのままに表現する。自由自在に跳ね回るピアノの音と、どこまでも伸びやかに広がっていく矢野さんの声はもはや分別不可能で、どちらが主従ということもなく、一つの全体としてそこに現れ、さまざまな風景とさまざまな感情を脳裏に呼び起こして、やがて静かに消えていきました。束の間宙を舞っては消えていくシャボン玉のように。

なんかやけに主観的な表現ばかりで申し訳ないですが(^^;、あの日の感動とある種の「凄まじさ」は、正直言って簡単に言葉にはできない、と感じています。本当に一音も聴き漏らすことができない、そんな演奏でした。

アンコールの最後は「ごはんができたよ」だったんですが、なんだか泣きそうになりました。理由はよくわからないんですが、そういう行為でしか身体が反応できなかったんですね。よくわからない感動に対して、反応する術がほかになかった、ということだったのかもしれません。

私はセットリストはほとんどわからなかったのですが、MIXIの矢野顕子コミュニティに書いて下さった方がいらっしゃいましたので、それを引用させていただきます。

・CHILDREN IN THE SUMMER
・Too Good To Be True
・Our Lives
・おいてくよ
・Vincent(ゴッホの曲)
・映画「誰がために」の曲
・達者でナ
・ニットキャップマン
・THE BOOM:梨
・くるり:青い空
・自転車でおいで
・カンナ
・GREENFIELDS

・上原ひろみ:Green Tea Farm
・ごはんができたよ

今年はモントリオールを始めずいぶんいろいろなライブに行きましたが、この矢野顕子ライブは今年のベスト5に入るかな・・・まあTWUライブとモントリオールのライブはちょっと別格なので、それを除けばベスト1の有力候補ライブでした。

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ということで、本当は続けて「ワケあり」の友人の話を書こうと思っていたんですが、結構長くなってしまったので(^^;、一端ここで区切ろうと思います。引っ張っちゃってすいません m(__)m

できましたら第二段「矢野顕子ライブにまつわるワケありの男編」(笑)もお読み頂ければ幸いです。

投稿者 Kota : 2005年09月02日 18:28
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コメント

Kotaさん、ちょっとご無沙汰しておりました。
やのさんのライヴ、いいな~~(ぼく、やのさんと大貫さんも好きなんです)。

「自転車でおいで」は、オリジナルでは佐野元春さんとのデュエットでした。(ライヴではひとりでうたったのかな)

投稿者 sekkie : 2005年09月03日 12:46

じつは私もこっそり矢野顕子はライブアルバムの3枚のみ持っていたりします。ピアノ一台のみなのに奥深い音楽をじっくり聴かせてくれる素晴らしい奏者さんですね。
私も出前コンサート、一度は行ってみたいです。

投稿者 そうめん : 2005年09月03日 21:52

昨年の12月の11日矢野顕子さんのライブ 私もいっていましたよ~4月22日のパットのライブもいっていました~!!
モントリオール行きたかったわ~

投稿者 びび : 2005年09月04日 10:20

鎌倉芸術館といえば僕の近所です(^^;
そうですか、矢野さんが来ていたんですね。アルバムはいつか欲しいなと思いつつ、時が過ぎてしまいまして未だ1枚も持ってないんですよ。Kotaさんお薦めのCDから聴いてみようかな(^^)
矢野さんの型にとらわれないスタイルが好きですね。

投稿者 おかぴー : 2005年09月04日 12:25

Kotaさん同様多感な時期がYMO全盛期にヒットしてしまい、残念ながらYMOに少なからず汚染されてしまった私です。
矢野顕子はCD2枚、LP1枚ですが、特にLPの「東京は夜の7時」というライブ盤がお気に入りなのですが、残念ながらプレーヤーがないので聴けません。なんか、これ聴くと自分の小学生時代を思い出してしまうような懐かしさを感じてしまう1枚です。

BNに来たら行きたいと思っていたのですが、鎌倉で演ったのは知りませんでした。

投稿者 Moto : 2005年09月04日 22:52

あああ、また更新できないまま何日も経ってしまって申し訳ありません>皆さま

・・・ってここに書いてもあんまり読まれないかもしれませんが(^^;

とりあえずコメントレスだけ付けさせていただきます m(__)m

▼sekkieさん
どうもお久しぶりです、コメントありがとうございます!

> やのさんのライヴ、いいな~~(ぼく、やのさんと大貫さんも好きなんです)。

あ〜、もちろん私も大貫さん大好きです!
この二人のデュエットの「ウナ・セラ・ディ東京」なんて本気で鳥肌モンですもんね!

> 「自転車でおいで」は、オリジナルでは佐野元春さんとのデュエットでした。(ライヴではひとりでうたったのかな)

へぇ、佐野元春ですか! それも面白いですね。
ライブはソロでしたので一人で歌われましたよ(^^)

ではまた!

▼そうめんさん
お〜、ひっさしぶりです、ども!(^^)

> ピアノ一台のみなのに奥深い音楽をじっくり聴かせてくれる素晴らしい奏者さんですね。

ですよね。今回はまさにそういう趣だったので、本当に素晴らしかったです。

▼びびさん

> 昨年の12月の11日矢野顕子さんのライブ 私もいっていましたよ~4月22日のパットのライブもいっていました~!!

あ、カンペキに私と被ってますね(笑)

> モントリオール行きたかったわ~

いずれぜひ! 本当に楽しいですよ(^^)

ではまた!

▼おかぴーさん
ども、ご無沙汰してます!

> 鎌倉芸術館といえば僕の近所です(^^;

あ、そうなんですか! ライブ後は大船駅前の典型的な居酒屋で一杯やりました(笑)

> 矢野さんの型にとらわれないスタイルが好きですね。

いや、ホントにあの自由自在な歌唱とピアノはすごいと思いました。ぜひいつかアルバムお聞きになってみて下さい。

ではまた!

▼Motoさん
どーもー、これまたお久しぶりです。お元気ですか?
私はちょっとバテ気味です(^^;

> 特にLPの「東京は夜の7時」というライブ盤がお気に入りなのですが、

お〜、さすが! 超名盤ですよね!(^^)
なんつってもメンツがあり得ませんもんね、このライブ。
実は私、矢野さんのサイン入りの「東京は夜の7時」CD持ってます(^^ゞ

ではまた!(^^)/~~

投稿者 Kota : 2005年09月08日 17:33