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2005年04月02日カテゴリー:ジャズ

塩谷哲 at 横浜Motion Blue Live!

4月の1日中にこれ書けるかな~、間に合うかな~?(^^;

昨日(31日です)、横浜モーション・ブルーで塩谷哲トリオのライブを観てきました。

【塩谷哲トリオ / Wheelin' Ahead!】
塩谷哲 / Wheelin' Ahead!
左は塩谷氏のトリオアルバムで、昨日のライブでもこの中から3曲か4曲、が演奏されました(たぶん(^^;)

ライブの後に会場でこのCDを買って、ご本人にサインもしてもらったんですが、実は塩谷さんの演奏を聴いたのは昨日のライブが初めてで、それまではCDも聴いたことがありませんでした、ファンの方、すんません(^^;

「なんで聴いたこともない人のライブに行ったのか」というと、塩谷さんの大ファンという友人がいて、お供させてもらったんです。

その友人というのは実は奈良県在住なんですが、「大ファン」どころじゃなく、塩谷さんの追っかけやってるんですよ。しかも42歳の男性(笑)

フリーのプログラマーなんですが、塩谷さんのライブに合わせてスケジュール調整して、こうやって全国追いかけているそうです。塩谷さんは水曜から4日間、1日2ステージで計8回、モーションブルーでライブを行ったのですが、彼もそれに合わせて水曜に上京してきました。

残念ながら金曜日だけは仕事の都合で帰るということで、今回「追っかけ」できたのは3日間の6ステージでした(でももしかしたら予定変更して最終日も行ったのかも(笑))

ま、私もジャズが好きですし、会場の横浜は職場からも近いし、わざわざ奈良から来るということで、お付き合いさせてもらった次第です。

あんまオレの友達の話をここでしてもしょうがないですよね(笑)

ということでライブの感想を以下に書きます。

でも彼自身非常に面白いヤツなので、最後にまたちょっと触れます(^^;

さて、今回のライブですが、4日間のうち前半2日間がピアノ、ベース、ドラムのピアノトリオ。そして私が行った木曜と金曜は、ピアノとヴァイオリンとパーカッションという、ちょっと異例の組み合わせでした。参考までにメンバー紹介しますと、

塩谷 哲(p)
金子飛鳥(vln)
大儀見 元(per)

です。

ホンットに塩谷さんの演奏は聴いたことないし、申し訳ないんですが他のメンバーの方も全く知らなかったんですが、逆に先入観もなにもなしにまっさらの状態でいきなりライブを聴くのもたまにはいいだろう、と、敢えて情報も入れないようにしていました。

根拠なしの勝手な予測としては、ピアノとヴァイオリンだから、たぶん甘~いメローでムーディーな、悪く言えば砂糖水みたいに、ただ甘いだけの演奏をダラ~っとやるんじゃないか、と思ってました。

胃もたれしそうな情感たっぷりのヴァイオリンと、きれいきれいなだけのもったいぶったピアノ、それを後からそっとサポートする控えめなパーカッション、みたいな。

なんかこう書くと相当悪意を持っているように受け取られるかもしれませんが(^^;、そういう可能性もあるだろうと、ある種「最悪の覚悟」はしていました。

そして実際はその正反対、非常にエネルギッシュで力強く、真っ直ぐに訴えかけてくる、素晴らしい演奏でした。そう、非常にいいライブでした(^^)
だからこそ外れた悪い予測をここまで臆面もなく書いたわけです(^^;

塩谷さんのピアノは全体的にスタッカート気味で力強く、非常に強くリズムを押し出します。カッコいいんすよ、これが(^^)

まずオープニングはトリオで「Fun Express」だったかな? 間違ってたらすいませんが(^^;、彼のオリジナルで幕を開けました。メロディアスなんですが、非常に強弱のダイナミクスが大きく、エネルギッシュで圧倒的な演奏でした。

また座席が一番前の塩谷さんの真後ろで(そら友人が1stステージから陣取ってるんですからいい席取れますわ(笑))、塩谷さんの動作がつぶさに観察できたのですが、右足で力強くガッツン、ガッツンと、まさに床を「蹴って」リズムを取っていたのが印象的でした。あの右足の大きな動きから、塩谷さんの体の中で大きなリズムが力強く脈打っていることが感じられました。

また女性ヴァイオリニストの金子さん、この方もナイーブさと力強さを巧みに操る見事な演奏で、弱々しい叙情性とは全く無縁。「甘いだけのタルい演奏」がいかに失礼千万な思いこみだったか、ということがすぐわかりました(^^)

パーカッションももちろん負けてはいません。気持ちいいんですよ、この大儀見さんのパーカッションは。ノリ、グルーブの良さはもちろんですが、パーカッションでちゃんと「歌い回し」をしてる、と思いました。俗な言い方をすれば「歌心」ってヤツですね。

音程のないドラムやパーカッションで「歌心」を表せるというのは(正確には音程はありますけど)、かなりのテクニックが必要だと思います。

それも「テクニックのためのテクニック」ではなく、その曲の中で自分がどういう位置を占め、何をすべきで、どういう演奏をすれば「曲全体」に貢献できるかをきちんと把握するという、文字通り「音楽的なテクニック」を持ってらっしゃる方だ、と感じました。

演奏中は本当にたびたび塩谷さんの方を見るのですが、それがいわゆるアイコンタクトというよりは、身をグーッと乗り出して、もうボディランゲージのように全身で会話するんです(笑) あるいは目と楽器で会話している、という感じです。いいトリオだな~と思いました。

(な~んか一段上から見下ろすような、偉そうな物言いが多くてすいません(^^;)

そんな三者による演奏は現代音楽的な要素も強く、まずはモチーフを提示したら後は即興で、調正や楽曲の形式にあまりこだわらない自由さがあります。

時にはピアノの弦に直に指を触れてハーモニクスを出したり、ヴァイオリンの駒とブリッジの間から音を出したり、また金子さんがSE的なサウンドを自ら口で演奏したりと、伝統や形式に縛られない演奏、表現も時に飛び出して、エグベルト・ジスモンチなどのECM系をちょっと思い出したりもしました。

個人的に特に印象に残ったのは、上記CDにも収録されている、ピアノとパーカッションのデュオによる「Heat of Mind」という曲と、アンコール前のラストに演奏された「ノルウェイの森」でした。

とにかく熱い演奏だったんですよ!

「なんでノルウェイの森が熱いの?」と思われるかもしれませんが(^^;、ノルウェイの森と感じられたのは最初の数分だけ(笑) モチーフ的に用いた程度で、曲が進むに従って何の曲なのか全くわからなくなりました(笑)

少なくとも私の耳には、最後は本当に「ノルウェイの森」の片鱗も見当たらない、全く別の曲になっちゃったんですが(笑)、その「なんだかわかんない曲」がメッチャクチャかっこよかったんです!

ピアノが和音のカタマリを叩き付け、パーカッションは体内の血を沸き上がらせるリズムを刻み、ヴァイオリンが叫ぶようにメロディーを奏で続ける。高みへ、高みへと真っ直ぐに上昇し、精神がどんどん高揚していく、そんな「熱い」としか言い様のない「ノルウェイの森」。まさに圧巻でした。

アンコールは一転して落ち着いた静かな曲。確かアラブ方面に行った際に立ち寄った街で作った曲で、その街の名をタイトルにしていましたが、すいません、思い出せません(^^;

これはどこか寂しげな曲で、心に空いた穴を隠したり無理に埋めようとすることなく、そのままさらけ出して生きている人間の姿を描いたようにも感じました。

この文章の中でやたらと力強いとかエネルギッシュと言っているので、ただガムシャラなパワーだけの人という印象を与えてしまったかもしれませんが、最後は叙情性溢れる演奏であり、その叙情性は、底の浅い、一時の感情的な「気分」などでは決してなく、キチッと芯の通った叙情性だったと、自分には感じられました。

全く知らないアーチストのライブに行くという「ちょっとした賭け」を久々にしたわけですが、昨日の賭けは大勝ちだった、と思っています(^^)

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ということで以上、塩谷哲 at モーション・ブルー横浜のライブ・レポートでした。

で、ホントは最初に書いたように一緒に行った友人の追っかけのオッサン、吉田シュウさんの話を続けようと思ったんですが、さすがに長くなりましたし、4月1日中にもアップできませんでしたので、エントリーを分けます(^^;

直接音楽には関係ない話ですが、よろしかったらそちらも読んでやって下さい m(__)m

投稿者 Kota : 2005年04月02日 03:22
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コメント

楽しめて良かったですね!

ピアノ、ヴァイオリン、パーカッションなら大きなダイナミクスの幅の曲をいかようにも表現できそうで面白そうです。

吉田さん、奈良ですか?近所かな?

投稿者 longrow1967jp : 2005年04月02日 12:13

Kotaさん、当日はどうもありがとうございました!

Kotaさんの分析力、文章力にも脱帽です。
そしてKotaさんの予想を見事にひっくり返してくれた3人も素晴らしいミュージシャンです。

この3人のセッションは、もう他には真似できません。
ライブ盤を切に望みます。

longrow1967jpさん、はじめまして。私は奈良市の西部です。近所ですか?

投稿者 吉田シュウ : 2005年04月03日 01:11

はじめまして、仕事は近鉄奈良駅前で、家は佐紀町です。東部ですね。

ああ~・・・ご本人にレス頂いて恐縮です。有難うございます。

>longrow1967jpさん、はじめまして。私は奈良市の西部です。近所ですか?

kotaさん私信のようになってしまいすみません。

投稿者 longrow1967jp : 2005年04月03日 01:56

longrow1967さん、そしてシュウさん、コメントどうもです!

もうお二人で会話成立しているから、オレは書き込まない方がいいかな?(笑)

> kotaさん私信のようになってしまいすみません。

ぜんっぜん構いませんよ!
むしろこうして自分のブログで新しい出会いが提供できるのは本当に嬉しいです! ブログ冥利に尽きますね(^^)

> Kotaさんの分析力、文章力にも脱帽です。

ありがとうございますm(__)m

正直塩谷さんの音楽に精通しきっているシュウさんにどう思われるか、かなりビビりながら書いてました(^^;

シュウさん自身の紹介文はそれこそお気楽に書けたし(笑)、「ま、なんかまずかったら後で修正しよ」と思ってましたが、こっちはちと気を抜けないし、後で修正ってのもなぁ・・・と緊張しつつ書きました。

・・・差がありすぎ?(笑)

> この3人のセッションは、もう他には真似できません。
> ライブ盤を切に望みます。

ですよねー! あの「ノルウェイの森」は本当にぜひとももう一度聴きたいです!

ところでお二人、結局近いんですか、遠いんですか?(笑)

でもまあ同じ市内の東部と西部でしょ? 東京までホイホイやってくるシュウさんならなんてことないでしょうに!(笑)

私もいつかlongrow1967さんのお店に立ち寄らせて頂きたい、とずーっと思っているのですが、その時はシュウさんも合流できたらいいなぁ!(^^)

投稿者 Kota : 2005年04月03日 15:26

こんばんは!今夜は(も)酔っています。

>私もいつかlongrow1967さんのお店に立ち寄らせて頂きたい、とずーっと思っているのですが、その時はシュウさんも合流できたらいいなぁ!(^^)

・・・何かよっぽどのコンサートでも大阪で無い限り、奈良にはねえ、来難いでしょうからどうかお気遣い無く。

>近いんですか、遠いんですか?(笑)
シュウさんはおそらくI市だと思います。あるいはその周辺。近いですよ、私鉄でI駅からYS駅まで15分弱ですから。

でもまあこうしてジャズやらいろいろな話題で、ああでもないこうでもない、などと交流できたら良いですね!

投稿者 longrow1967jp : 2005年04月03日 21:01

longrow1967jpさんこんばんは!

> どうかお気遣い無く。

いえいえ、「気遣い」じゃなくて、longrow1967jpさんのお店に行きたいというのは「希望」ですから!

> 私鉄でI駅からYS駅まで15分弱ですから。

余裕ですね!(^^)

シュウさん、一度お店に行ってレポート書いてよ!

> でもまあこうしてジャズやらいろいろな話題で、ああでもないこうでもない、などと交流できたら良いですね!

そうそう、それですそれ!(^^)

あ、でもオレとシュウさんが揃うと女性の話で一番盛り上がりそうな・・・(^^;

投稿者 Kota : 2005年04月04日 23:49