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2005年02月23日カテゴリー:ジャズ

トゥーツ・シールマンス:East Coast, West Coast

今日は東京は暖かいですが風が非常に強いです。
皆さんのお住まいの地域はいかがですか〜?

さて、今回はメセニーではなく相棒、ライル繋がりでの紹介。
愛すべきトゥーツおじいちゃん(笑)のアルバムです。

【Toots Thielemans / East Coast, West Coast】
Toots Thielemans / East Coast, West Coast
私が所有しているのはCDですが、たぶんLPの時はA面が「East Coast」、B面が「West Coast」に別れていたんじゃないかと思います。

「East Coast」サイドは東海岸のミュージシャン、「West Coast」サイドは西海岸のミュージシャンを起用しての演奏(だと思います。各ミュージシャンのお住まいまではさすがに私もわからんとです(^^;)

曲は有名なスタンダードナンバーばかりで、それらをトゥーツおじいちゃんを筆頭に、東西の有名ミュージシャン達が一同に会して演奏するという、企画ものとしても楽しい内容です。

で、参加ミュージシャンの顔ぶれはといいますと、

まず前半7曲に参加しているイーストコースト組のメンバーが、ライル・メイズ、クリスチャン・マクブライド、ジョン・スコフィールド、ジョシュア・レッドマン、マイク・マイニエリ、テレンス・ブランチャード等々。

そして後半6曲のウェストコースト組がハービー・ハンコック、チャーリー・ヘイデン、ロベン・フォード、ピーター・アースキン、アーニー・ワッツ等々。

すんごいっしょ! これだけのメンツを集められるのは、やっぱトゥーツおじいちゃんの人徳のおかげですよね、きっと。

では、各曲ごとに紹介します!

1. 美しい湖のさざ波を思わせるような、叙情的なライルのピアノでアルバムの幕が開きます。ジョシュアのテナーとマクブライドのボウイングが「Naima」のテーマを奏でつつピアノと絡み合い、トゥーツのハーモニカが静かに加わってきます。ここまででもう完全にこのアルバムの世界に引き込まれてしまいます。一発ですぐに分かるジョンスコのギターもいつもながらのウネウネぶり(笑)。後半のジョシュアのテナーとのツイン・リードがこれまた美しいです。

2. テレンスのご機嫌なペットのイントロから始まる、ノリノリ・スウィングのモンクのナンバー「In Walked Bud」。4ビートスウィングのライルって意外と珍しいのでは? マクブライド、デイビスのリズムセクションもグー。ペットとハーモニカの掛け合いも面白いです。

3. 言わずと知れたスタンダード・ナンバー「Dear Old Stockholm」。ここではトゥーツとピアノ、ベース、ドラムスのカルテットでじっくりと聴かせます。トゥーツのハーモニカの表情の豊かさが存分に味わえます。短いながらクールかつリリカルなライルのピアノソロも素晴らしい。

4. お次は軽やかにディジー・ガレスピーの「Groovin' High」。トゥーツ、ジョシュアのソロの後の、クリスチャンとトロイとのソロ回しも楽しく、「昔ながらの正統派ジャズ」を聴かせてくれます。

5. 再びガレスピーの「Con Alma」。ここでの聴き所はクランチ・ディストーションのジョンスコと、なんといってもマイク・マイニエリのヴァイブ。軽やかでキラキラ光るヴァイブの音色が、曲に優しい彩りを与えています。

6. 今度はそのマイニエリとのデュオによるデイブ・ブルーベックの「In Your Own Sweet Way」。暖かい部屋で味わう冷たいワインのような、ヴァイブとハーモニカのひんやりとした金属的な響きが、心を気持ちよく解きほぐしてくれます。

7. イースト・コーストのトリを飾るのはジャイステ! ブルース・バースの軽快なピアノのイントロに続いて、トゥーツがあのテーマを堂々たる演奏で披露。その後トゥーツ、ジョンスコ、テレンス、マクブライドとソロ回しをして、爽やかな風を残しながら東海岸に別れを告げます。

8. さて、ここからウェスト・コースト。一発目はこれまたお馴染みの「Waltz for Debby」。アラン・ブロードベントの落ち着きのあるピアノから、曲に入るとまずはトゥーツのハーモニカとチャーリーのベースのみでテーマを演奏。ヘイデンの貫禄あるプレイがいいですね。聴くたびに「歌」を大事にする人だなぁ、と思います。ジェリー・グッドマンのヴァイオリン・ソロも華やかで素敵です。

9. 次はハービーとのデュエットで「A Child is Born」。ハービーの知的なピアノが冴える! お互いを触発し合う見事なインタープレイが展開されます。

10. お次の「Take Five」はかなりブルージーで渋め。トゥーツ、ジェリーのヴァイオリン、そしてロベン・フォードの三者三様のソロが面白い。

11. 続いてアランのピアノ、チャーリーのベースとのトリオによる「Spring Can Really Hang You Up The Most」。バラード・ナンバーでのトゥーツの見事な「歌唱力」が存分に堪能できる一曲です。トゥーツはもちろん素晴らしいんですが、こういうバラードナンバーでのチャーリー・ヘイデンのベース、何も特別なことはしてないのに、いいんですよねぇ。

12. 4曲目の「Groovin' High」同様、軽快、スピーディー、そして粋な演奏を聴かせてくれる「Ornithology」。チャーリー・パーカーのナンバーです。ソロを取るのはアーニー・ワッツのテナー・サックス。速めのフレージングですが余裕溢れるプレイです。最後のテーマ・リプレイでのトゥーツとのユニゾンもお見事。

13. アルバムのラスト・ナンバーはマイルスの名曲「Blue in Green」。これもシブシブにシブイ演奏です。曲が終わるとフッと夜の静寂さに気づかされる、そんな鮮やかな幕引きです。

ということで全13曲、東から西へとアメリカ横断の旅? を辿ってみました。

個人的には、アメリカの両海岸の音楽性の違いを感じるというよりは、個々のミュージシャンの妙技を味わい、それぞれの曲の良さを改めて噛みしめて、「やっぱジャズっていいなぁ」と素直に思わせてくれるアルバムだ、と思っています。

投稿者 Kota : 2005年02月23日 11:57
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コメント

トゥーツ・シールマンス の私的最近のあたりは・・
the brasil project 1 & 2
半端でなく、大変、大変、良いです。泣けるほど良いです。
でも、これ、持ってないです。
中古で出会ったら・・もちかえります。
すまん、いつでも金欠なんで、中古が原則なんです。

投稿者 Suzuck : 2005年02月23日 18:08

kotaさん、毎度。
BBSへの書き込みありがとうございました。

さて、トゥーツ。私、ジャコのアルバムに参加してるのしか聴いたこと無いとです・・・。

なんかでもご紹介のこのアルバム、やばそうですね(笑)

是非とも近日中にCHECKしたいと思います。

といってもトニーニョのアルバムはamazon.comの方で中古探してるし、昨日は昨日でポール・ウィンターを大量に購入してしまったし。。。

PS:最近、BLOG復活しました。基本的に何も有りませんし、今後も何も提供しない予定ですが(笑)

http://blog.livedoor.jp/noise_eraser/

投稿者 h2 : 2005年02月23日 20:59

> Suzuckさん

こんばんは! コメントありがとうございます。

> the brasil project 1 & 2
> 半端でなく、大変、大変、良いです。泣けるほど良いです。

あ・・・

実は私も「本命」がその2枚だったんですよ。
「先日トゥーツのアルバムを紹介しましたが、やはり欠かせないのが・・・」みたいなフリでこの2枚を紹介するつもりでした。

ネタばれしちゃったー!(笑)

ま、好みが近いんだからしょうがないか(笑)

ということで私ももちろんその2枚は大好きです。
泣けますよね、ホントに。

これも面白いアルバムだと思いますんで、中古で見つけられた際はぜひテイクアウトしてやって下さい(^^)

> h2さん

掲示板、すごいことになりそうですね!
本邦初公開のボナ・セミナー in NYレポートが上がるかも?
楽しみですね!
後で改めてそちらにもお邪魔します。

> さて、トゥーツ。私、ジャコのアルバムに参加してるのしか聴いたこと無いとです・・・。

えーっと、パット・メセニーの「シークレット・ストーリー」はお持ちではないですか?

あれの「Always And Forever」という、限りなく美しいバラードの中で、この上なく美しいハーモニカソロを吹いているのがこのトゥーツおじいちゃんです。

実はギタリストでもあって、結構ギターもやるんですよ、この人。

> なんかでもご紹介のこのアルバム、やばそうですね(笑)

ええ、ヤバいかもしれません(笑)

> PS:最近、BLOG復活しました。

あ、ブログもお持ちなんですか!
と思いきや・・・

> 基本的に何も有りませんし、今後も何も提供しない予定ですが(笑)

何もしないんですか(^^;

ま、日本有数のリチャード・ボナ・サイトをやられてますから、それだけですでに十分なんですけどね(^^)

ではまた!

投稿者 Kota : 2005年02月23日 22:52

Secret Story、持ってました・・・(恥)。

ということで久々にこのアルバムを引っ張り出してきてトゥーツの音聴いてます。

いやー美しい・・・ですね。

>ま、日本有数のリチャード・ボナ・サイトをやられてますから

お恥ずかしいです。内容の充実がいっこうに進みませんが・・・。

blogの方にこちらのblogのLINK貼らせて頂きました。
これからもちょくちょく遊びに来ます。

投稿者 h2 : 2005年02月24日 00:23

h2さんこんにちは!

> いやー美しい・・・ですね。

ですよね。最初聴いたとき「一体誰がこんなハーモニカ吹いてるんだろう?」と不思議に思い、クレジットを見たら「なんだおじいちゃんか!」と驚きました(^^;

> お恥ずかしいです。内容の充実がいっこうに進みませんが・・・。

全然恥ずかしくなんかないッスよ!
立派なサイトじゃないですか!
実際あそこ以上のボナ情報集めたサイト日本にはないでしょうし。

> blogの方にこちらのblogのLINK貼らせて頂きました。
> これからもちょくちょく遊びに来ます。

あ、どうもありがとうございます。
blogへのリンク、私の方からも張った方がよろしいですか?

もしあまり更新されるおつもりがなく、リンク張られると却って迷惑、ということであれば張りませんし、もちろん春野も全然構いません。

h2さんのいいようにしますので、お返事ください。

ではでは、今後ともヨロシクです(^^)

投稿者 Kota : 2005年02月24日 12:04

いやぁ〜Affinityにすでに、いらしていて驚きました。
ほんと、結構、かぶさってますよね。
では、the brasil project 1 & 2楽しみにしてます。

そう、ギター弾くのすきですよね。
まぁ、やめろぉ〜、って、いわないけど、
・・・小さい声で・・・
そんな・・うまくないよね?

投稿者 Suzuck : 2005年02月24日 12:24

>もしあまり更新されるおつもりがなく、リンク張られると却って迷惑、ということであれば張りませんし

これからどうなるか解りませんが、こちらのBLOGを拝見してBLOGの可能性を感じるんで、なんとかマメに更新していきたいとは考えてます。内容があるかないかは別にしてですけど(笑)

なので出来ればLINK宜しくお願いします。
ファンサイトからBLOGへのLINKを貼るかどうかは思案中です。。。

投稿者 h2 : 2005年02月24日 13:25

Suzuckさんこんばんは!

> ほんと、結構、かぶさってますよね。

ですね(^^;

> では、the brasil project 1 & 2楽しみにしてます。

はーい! 皆さんが忘れた頃にコソッと出したいと思います。
・・・って自分が忘れ去りそうで恐い(笑)

> そんな・・うまくないよね?

・・・言っちゃったぁ(笑)
Suzuckさんのトゥーツ斬り、ですね!(笑)

h2さんこんばんは!

リンク了解しました!
右の「音楽系リンク」に追加させていただきました。
ショボくて恐縮ですが(^^;

> ファンサイトからBLOGへのLINKを貼るかどうかは思案中です。。。

個人的な意見としては、私は張った方がいいと思いますよ(^^)

h2さんのサイトに、ただただボナの情報を得るためだけに来る人も多いでしょうが、h2さんとの交流そのものも目的となってくる人もいると思います。

そういう人に交流のための別の回路を設けておくのはいいことですし、必要ない人はスルーするだけですから、プラスにはなってもマイナスにはならないと思います。

h2さんにはh2さんのお考えがあると思いますが、個人的にはそんなふうに感じます。

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とか書いてからh2さんとこ行ったらフッターにリンク張られてましたね(^^;

余計なお世話っつーか遅いっつーの>オレ(^^;

投稿者 Kota : 2005年02月25日 01:45