パット・メセニー、マイルス・デイヴィスらのジャズ、スティーリー・ダン、ローリング・ストーンズ、ボブ・ディランらのロックなど、愛する音楽 + "α" を日々の糧にして・・・

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2004年12月31日カテゴリー:パット・メセニー

別れと再生、パットとジョペクの 「Tell Her You Saw Me」

今年もあとほんのわずか。
年の瀬を皆さんいかがお過ごしでしょうか。

紅白にも格闘技にも興味のない私は毎年年末は世間の蚊帳の外、
普段の休日と何も変わらぬマイペースで、気が付くと新年になってるのが通例です。

この年末年始は、たまっているビデオの消化が一つの目標でもあり楽しみでもあるのですが、今日はオランダの友人から送ってもらった、パット・メセニーアンナ・マリア・ジョペクのライブを観ました。

アンナ・マリア・ジョペクとはポーランドの女性シンガーで、2002年に「Upojenie」というアルバムをリリースしています。

このアルバムは大半がパット・メセニーの代表曲のカバーで、メセニーも共同プロデューサー兼プレイヤーとして参加しています。

今でも日本では入手しにくいのかもしれませんが、私は発売直後にこのアルバムのことを知って、
ポーランドのCDレーベルから直接空輸しました。CD代と輸送費がほぼ同額だったような(笑)

アルバムは非常に素晴らしい出来でして、地元ポーランドで一度だけジョペクとメセニーのライブが
行われ、そのテレビ放映を友人から送ってもらいました。

ライブの中で、アルバムにも収録されていた「Tell Her You Saw Me」という曲が演奏されたのですが、
私はこの曲が大好きで、今もこの曲だけをリピートさせて聴いています。

オリジナルはパットのソロ名義の「Secret Story」に収録されていました。

【Pat Metheny / Secret Story】
Pat Metheny / Secret Story

私はこのアルバムがそれはそれは大好きで、これ1枚あればそれだけで軽くご飯3杯は食べられます(笑)

無人島に持って行く10枚には絶対に入れますし、このアルバムの話だけでブログ1週間分ぐらいは書けると思います。
あ、14曲収録だから1日1曲でも2週間は行けますね(笑)

このアルバムはパットの失恋が契機になっていたそうで、一度の失恋でこれだけの作品が作れるんならバンバン恋して破れてちょうだいパットちゃん、って感じですが(笑)、「Tell Her You Saw Me」はアルバムのエンディングの1曲前で、実質的にこのアルバムのフィナーレ的な曲です。

オリジナル版は、非常にシンプルで美しいメロディを、フルオーケストラをバックに、パットがガット・ギターのトレモロで演奏しています。

方やジョペク版は打ち込み系のリズムをバックに3~4声のハーモニーで奏でます。
パットのガット・ギターも入っていますが、それほど目立ってはいません。

今日観たライブバージョンはジョペク版をベースにしつつも、パットのガットも大きくフィーチャーされていたこともあり、オリジナルのメロディーの良さがより前面に出ていた気がしました。

ジョペクは歌詞を付けて歌っているわけですが、なにせポーランド語なので何を言っているか皆目わかりましぇん(笑)

ここは勝手に想像を膨らませるしかないのですが、「Tell Her You Saw Me」の
Herは当然失恋相手の女性、Youは自分と彼女の共通の友人、ってところでしょうか。

そして「僕とこうして話をしたことを、彼女に伝えて欲しい」と言っているということは、
自分はもう彼女と直接会うことはない(すでに別れを経たから)が、
それでも自分はこうして普通の生活は送れている(友人と話ができるぐらいに)、
だから心配しないでも大丈夫だ、というメッセージではないか、などと思っています。

平たく言えば、フッた相手が自分をフッた事によって、罪悪感や心の傷を抱える事のないよう、フラレた本人が気遣っている、ということなのかな、と。なんかこう説明するとミもフタもない気もしますが(笑)

なんつーか、結構微妙な感情で、そうやって気遣うぐらいだから当然まだ相手への思いがあるわけだけど、すでにもう終わってしまったことも自覚しているわけで、別れと喪失の真っただ中にいるのは確かだけれど、相手への気遣いができるということは、全くの後ろ向きではなく、わずかながらも前を向いていて、再生への道を辿り始めてもいる、そんな状態を歌っているように思えます。

「Tell Her You Saw Me」という曲は、再生への希望の光、おぼろげな光が、別れと悲しみ、切なさを、静かに包み込んで癒していく、そんな感情を呼び起こしてくれます(いわゆる「癒し系」ってヤツではなく)

さ、またまた超長文になっているこの31日分ですが(笑)、大晦日に書きたかったのはこの
「別れと再生」ということ。

2004年の1年間、いいこと悪いこといろいろあったと思います。
名残惜しいこともあれば、忘れ去りたいこともありで、
振り返れば人それぞれいろんな感情があることでしょう。

私も心残りやら後悔やらありますが、とにもかくにも、これで2004年ともお別れです。
去りゆく年には一度きっぱりと別れを告げて、いいこと悪いことひっくるめて、
2005年に新たな再生を目指したいと思います。

ということで2005年もヨロシク!

投稿者 Kota : 2004年12月31日 22:32
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トラックバック時刻: 2005年03月22日 11:56

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トラックバック時刻: 2005年05月24日 17:41

コメント

何が裏技だったのか、よくわかんないんですけど・・。
ここに、トラックバックしちゃってよかったのですか?
オランダに友達いないので、そのライブはみてないのですが、
彼女のアップみてあまりに綺麗なのでおどろきました。
正直、最初、やっぱ、メセニーでしょ、って感じで好きだったのですが、
聴いてたら、彼女だからこの雰囲気がでたんだなぁ・・って、思うようになってきました。

実は、プログの名前って、My Secret Story,My Secret Love、って候補もありました。
どちらも、すぐつっこまれそうなので、やめました。

投稿者 Suzuck : 2005年03月22日 12:11

Suzuckさんまいどどうもです!

> 何が裏技だったのか、よくわかんないんですけど・・。

あう、あう・・・(^^;

いや、なんかこう、過去のエントリーほじくり返してそこからトラバっちゃうって、結構自分的には「おおーっ、こんなこともできるんだぁ」と感動があったもんですから・・・すいません(^^;

> 正直、最初、やっぱ、メセニーでしょ、って感じで好きだったのですが、
> 聴いてたら、彼女だからこの雰囲気がでたんだなぁ・・って、思うようになってきました。

ああ、それはわかりますね。機会があれば自分も彼女の他のアルバム聴いてみたいと思ってます。

> 実は、プログの名前って、My Secret Story,My Secret Love、って候補もありました。
> どちらも、すぐつっこまれそうなので、やめました。

ん〜、確かに音楽系というよりは別の意味深な路線狙いのブログに思えるかも(^^;

でもSuzuckさんのSecretなStoryとかLoveとか、聞いてみたいッスね(笑)

投稿者 Kota : 2005年03月22日 12:29